不妊治療をはじめる前に玄米などの全粒穀物を多く摂取すると、よい結果につながる可能性が高まる
監修:㈱玄米酵素 管理栄養士 加藤初美 /㈱玄米酵素 工学博士 藤田仁
米国ハーバード大学の研究チームの発表した論文によると、体外受精の不妊治療をはじめる前から全粒穀物を多く食べている女性は、体外受精による着床と出産の可能性が高いことがわかりました。
全粒穀物とは、胚芽や表皮を削っていない、精白していない穀物のこと。具体的には、玄米ごはん、そば、全粒小麦・大麦を使ったパンや麺、シリアルなどです。
この研究は、273名の不妊治療を受けている女性を対象に、全粒穀物の摂取量により4つのグループにわけ、体外受精の治療成績を調べたものです。
主な結果
- 体外受精で着床できた割合は、全粒穀物が最も少ないグループでは51%でしたが、全粒穀物が最も多いグループでは70%でした。(統計的に有意な差あり)
- 体外受精で出産できた至った割合は、全粒穀物が最も少ないグループでは35%でしたが、全粒穀物が最も多いグループでは53%でした。(統計的に有意な差あり)
- 全粒穀物の摂取量が多いグループほど、胚移植時の子宮内膜厚が厚いことがわかりました。
- 成熟卵数や受精率、胚質については、全粒穀物の摂取量との関連は見られませんでした。
この研究結果から、玄米などの全粒穀物を食べることは、妊娠や出産に有益である可能性があることが分かりました。
なお全粒穀物が最も多いグループでは、1日平均70.8gの全粒穀物を摂取していたそうです。これは玄米ごはんに換算すると、お茶碗1杯の約半分くらいになります。
全粒穀物を摂取することは、感染症、糖尿病、循環器系疾患など様々な疾病の発症リスク、死亡リスクを低くすることが、多数の論文でも発表されています。
玄米などの全粒穀物には、全身の健康維持に役立つ、ビタミン、ミネラル、食物繊維、ファイトケミカルなどの抗酸化物質が多く含まれています。これら成分が複合的に健康を維持し、妊娠や出産などにもよい影響を与えているものと思われます。
参考文献 Fertility and Sterility VOL 105, ISSUE 6, P1503-1510.E4, JUNE 01, 2016