【カンボジア便り Vol.2 】 今年建設する図書館の地鎮祭
地鎮祭が行われたのは、シェムリアップ州のワット・チョック小学校。ここはアンコール・ワット観光の拠点となるシェムリアップの町から、そう遠くはない所ながら、周りは人家の少ない畑の中。そこに千人以上の子供たちが通っているとのことで、いったいどこから来ているのか不思議なくらい。
私たちが到着すると、校長先生を先頭に校門から会場まで子供たち
がびっしり並んで拍手で出迎えてくれました。今回、日本から参加し
た13人は、こんな経験は初めてとあって、びっくりするやら、照れくさ
いやら。
歓迎式典では、ラッ・ブンタン校長、SVA(シャンテ国際ボランティア
会)プノンペン事務所代表のイ・トン副所長、岩崎社長、シェムリアッ
プ州教育局代表らの挨拶が続きましたが、カンボジアでは偉い人ほ
ど挨拶が長くなるとのこと。式に参加したのは一部の生徒でしたが、
35度の炎天下とあって、途中から生徒はテントの中へ。長い挨拶に
慣れているのか、おとなしいのには感心しました。日本の子供たち
なら、こんなに集中力が続かないのではというのが販売店さんたち
の感想でした。
場所を変えての地鎮祭のセレモニー。建設地の中心に埋める礎石、
果物、花、豚の頭を飾った祭壇に向かって僧侶の読経が続く。
後ろでは5~6人による楽器の演奏も。
お祈りの終わった礎石は、僧侶を先頭に建設地の中心を3回回ります。
竹の棒につるされた礎石は、校長先生がロープの上にナタを当て、
その上から岩崎社長が棒でたたいて、穴の中に切り落としました。
切り落とされた礎石の上には、僧侶によるお祓いの後、参加者が
石、お金などを投げ入れ、工事の安全を祈願しました。
9月には完成予定です。
図書館の完成予想図
終わって参加者全員で記念植樹。木の名前はロムドールとのことで
すが、日本では聞いたことのない木でした。
最後は紙芝居を使っての読み聞かせ。先生の熱演に、みんな引き
込まれていきます。子どもたちは、絵本を読んでくれるのをとても楽
しみにしています。字の読めない子どもたちも、読み聞かせを聞いて
お話を覚え、自分で本を開いて何度も楽しむと言います。
子どもたちの笑顔が輝いているのは、夢や希望があるから。絵本は心の栄養、そして未知の世界への扉です。 字を学んだり、ステキな絵をみるだけでなく、やさしさ、愛など、毎日の生活を楽しくしてくれる秘密がたくさんあります。
こんな機会をもっと作ってあげたい。でも、まだまだ圧倒的に学校、図書館、本、教材、学校の資機材が足りないのが現状です。
子どもたちは、支えてくれる人がいることを忘れません。
私たちにできることを続けたいと誓った2日間でした。
《カンボジアのスラム事情》
首都プノンペンには700を超えるスラムがあり、そこにプノンペン市の人口の3分の1、約40万人が暮らしています。スラムでは、仕事の機会も少なく、安心して飲める水や電気、十分なトイレもなく、7月~11月の雨季になると特に悪化します。スラムの貧しい家庭の子どもたちは、教育の機会もなく暮らしているのです。(SVAの資料より)
※SVA(社団法人・シャンテ国際ボランティア会)は、1981年、インドシナ難民の大量発生を契機にカンボジア難民キャンプで開始した支援活動が始まり。以来、図書館事業、学校建設事業、スラム教育文化支援事業、伝統文化支援事業を行っており、着実に成果をあげています。