ビタミンDで骨や歯を健康に
今回は「ビタミンD」についてお話します。
■ビタミンDとは
ビタミンDは脂溶性ビタミンの一種で、カルシウムやリンなどのミネラル代謝や恒常性の維持、骨の代謝に関わり、丈夫な体づくりには欠かせない栄養素です。
カルシウムの働きに深く関わることから、別名をカルシフェロールといいます。
また紫外線を浴びることによって体内で合成することができる唯一のビタミンで、「太陽のビタミン」とも呼ばれています。
ビタミンDは、植物性食品に含まれるビタミンD2(エルゴカルシフェロー)と動物性食品に含まれるD3(コレカルシフェロール)の総称で、ビタミンD2、D3の体内での働きは同じです。
体内に取り入れられたビタミンDは、そのままでは体内で働けません。
肝臓と腎臓の酵素によって活性型ビタミンDに変換されて、初めて体内で働くことができます。
■ビタミンDの働き
(1)骨や歯を丈夫にする
活性型ビタミンDはカルシウムの吸収に必要なたんぱく質の合成を促し、小腸でのカルシウムとリンの吸収を高め、血液中のカルシウム濃度を高めます。さらに血液中のカルシウムが骨や歯に沈着するのを助け、成長の促進や、丈夫な骨や歯の形成、維持に働きます。
(2)糖尿病を予防する
ビタミンDとカルシウムを一緒に取ることで、糖尿病のリスクが軽減するということがわかってきました。また血糖降下作用をもつインスリンの分泌を促し、糖尿病の予防効果や生活習慣病の予防効果が期待されています。
(3)免疫力を高める
ビタミンDが細胞で抗菌物質を分泌し、自然免疫力を高めてくれます。
また季節性インフルエンザの発生率を抑える働きがあることも分かっています。
(補足)
ビタミンDが不足すると、カルシウムの吸収がうまくいかなくなり精神的にイライラしやすくなります。また閉経後の女性や高齢者は、カルシウムを十分に摂取していても、ビタミンD不足によって吸収や代謝が悪くなり、骨粗鬆症になりやすくなります。
■ビタミンDはこんな方におすすめ
・骨や歯を強くしたい方
・骨粗鬆症を予防したい方
・糖尿病を予防したい方
・免疫力をアップさせたい方
・日光をあまり浴びない方
■ビタミンDの多い食材
植物性食品(干し椎茸、きくらげなどのきのこ類)
動物性食品(いわし、かつお、まぐろなどの魚介類、卵類など)
■ビタミンDの上手な取り方
ビタミンDを取るには、食べ物から取る方法と、紫外線を浴びて体内で合成する方法の2つがあります。
皮膚が紫外線を浴びると、皮膚に存在するコレステロールの一種を材料にプロビタミンDが合成され、これらは肝臓と腎臓で活性化されてビタミンDとなります。
そのため、日常生活の中で1日10~20分ほど日光を浴びることがビタミンDの合成に役立ちます。ただし、黒く日焼けするほどの日光浴は逆にビタミンDの合成能力を低下させるだけでなく、紫外線による害もあるため注意が必要です。
食べ物から取る場合、油脂で炒めたり、ごまやピーナッツなどの種子類と一緒に食べることで吸収が良くなります。