歯周病・虫歯を予防改善する食事 ~白米はダメ!?
歯周病になりやすい方、歯周病の改善に取り組んでいる方、虫歯を予防したい方は、食を見直してみませんか?
近年の口腔内の健康と食に関するエビデンスをもとに解説します。
【監修】
予防歯科医師・山崎隆先生
■ 歯周病や虫歯になりやすい食生活 ~ 白米はダメ?
砂糖が虫歯の原因になることは良く知られていますが、実は白いご飯、精白小麦を使ったパンも、虫歯や歯周病になりやすい食品です。
白米はビタミン・ミネラルが豊富な"米ぬか"の部分を削っているため、栄養バランスが悪い食品と言えます。
白米中心のビタミンやミネラルが少ない食事を続けると、細胞の再生ができなくなります。
歯茎の細胞の再生もうまくいかなくなり、歯周病のリスクが高まります(*1)。
白米が健康に与える影響について詳しく知りたい方は、鶴見大学歯学部・花田教授の「白米が健康寿を縮める~最新の医学研究で分かった口内細菌の恐怖」という書籍がおすすめです。
■ 歯周病の予防改善に役立つ食事のポイント ~ 日本食がおすすめ
1. ビタミンA・C・Eなどの抗酸化物質が豊富な野菜・海藻などの植物性食品を摂りましょう。
歯周病菌は組織に炎症を起こしますが、その際に活性酸素が発生し、体にダメージを与えます。抗酸化物質で活性酸素を抑えることが大切です(*2)。野菜に多いビタミンCは、歯周組織のコラーゲンに必要な栄養素でもあります。
2. 食物繊維の多い食品を摂りましょう。
野菜、海藻、豆類。玄米、雑穀、全粒粉を使ったパンや麺など。食物繊維の摂取により、歯周病を改善するというデータが発表されています。食物繊維を摂取すると血中のアディポネクチンという成分が増え、これが歯周組織によい影響を与えると考えられています(*2)。
3. 油っこい食事は控えめにしましょう。
低脂肪食が歯周病改善に役立つというデータが発表されています。ただしEPAやDHAは炎症を抑えるため、魚介類から適量摂りましょう(*2)。
4. 玄米食をおすすめします。
脂質異常症や血糖値のコントロールができていないと、歯周病のリスクが高まることが明らかになっています(*2)。玄米食により、コレステロール(*3) や血糖値(*4)が抑えられるデータが発表されているため、玄米は歯周病のリスクを下げる可能性がある食品だと考えられます。玄米にはビタミンE、フェルラ酸、γ‐オリザノール、IP6などの抗酸化物質、食物繊維も豊富。よく噛んで食べればさらに効果的。玄米食が良い理由については、こちらもご覧ください。
【参考】
*1 歯科情報サイト「歯の教科書」2020年6月2日
*2 日歯保存誌62(3):135~142,2019
*3 日本食生活学会誌 28巻 第2号89~95(2017)
*4 British Journal of Nutrition (2014), 111, 310-320
<監修者・予防歯科医・山崎隆先生のご紹介>
下痢をしやすい、腰痛、不眠症など、子どものころからの健康不安を克服するため、30歳のころから西洋医学以外の健康法に興味を持ち、漢方・玄米菜食・食養生・呼吸法など様々な養生法を実践し体調を改善。ご自身の体験を通じて「全身を健康にする」予防医療を実践。口腔内のトラブルを抱えた患者さんにも、ブラッシングなどの口腔ケアだけでなく「食の乱れが原因では?」と考え、食のアドバイス等を積極的に行っています。
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